慢性扁桃炎の対処方法!

慢性扁桃炎とは急性扁桃炎を何度も繰り返す症状の事です。
急性扁桃炎は症状が現れた時は喉に激しい痛みが生じ、食べ物を飲み込むのも難しくなるほど辛い状態になりますが、内服薬で症状は改善されるので扁桃炎自体はそれほど重篤な症状ではありません。

ただし急性扁桃炎が何度も再発した結果、慢性扁桃炎が発症し、その状態を放置しておくと腎臓など内蔵に障害が起こる可能性もあるため、重症化する前に適切な治療を受けておく必要があるのです。

扁桃炎を繰り返し発生する人は注意

扁桃炎で喉が痛い女性

そもそも人の喉には咽頭扁桃や耳管扁桃、口蓋扁桃、舌扁桃といった扁桃があり、ウイルスや細菌の侵入を防ぐ役割を果たしています。
ただし表面に凸凹した穴があり細菌なども溜まりやすいので、炎症が起こりやすい場所でもあります。
扁桃の中でも口を開けた時に見えるのが口蓋扁桃で、溶連菌や肺炎球菌、アデノウイルス、インフルエンザウイルスなど身近な細菌やウイルスが付着する事で増殖・炎症を引き起こす事になります。

ちなみに口蓋扁桃は3~8歳をピークに10歳ぐらいまでは肥大化する可能性がありますが、それ以降は小さくなっていくのが普通です。
ただし急性扁桃炎を何度も繰り返していると扁桃が肥大し、成長しても扁桃が大きい状態が続き、大人になっても感染を起こす事が多くなってしまうのです。

急性扁桃炎とは喉の痛みや高熱が主症状で、倦怠感や寒気、リンパ節の腫れなどの症状が現れる事もあります。
軽度であれば喉の痛み以外は良好で食欲もありますが、放置しておくと命に関わる疾患まで発症させる可能性も出てきます。
とにかく風邪ではない喉の痛みが現れた時は扁桃炎を疑い、抗生剤や点滴などで治療を受けなければいけません。
症状が無くなれば急性扁桃炎は完治となりますが、厄介なのが急性扁桃炎を何度も繰り返す慢性扁桃炎です。

慢性扁桃炎のうち、年4回以上再発する場合は習慣性扁桃炎とも呼ばれます。
体の免疫力が小さく体力の無い未就学児に多く発症しますが、扁桃が肥大している場合は成人になっても発症を繰り返してしまいます。
慢性扁桃炎の症状は急性期には38℃以上の発熱や喉の痛みなどが現れますが、安定期は何も症状も出ません。
急性扁桃炎より症状が軽く感じられるかもしれませんが、実は放置しておくと様々な合併症を引き起こす事になるのです。

そのため扁桃炎を繰り返す人や要注意で、細菌やウイルスに感染しないためにも手洗いやうがいの習慣をつける事、栄養バランスの良い食事や十分な睡眠によって普段から免疫力の向上に努めます。

また喉の乾燥を防ぐ事も予防の一つであり、こまめに水分をとる、加湿器をつける、マスクを着用する等して、常に喉に潤いを与えるようにします。
そして急性扁桃炎の治療も不十分だと慢性化する原因になるため、きちんと治療を受けておく事が大切です。

様々な合併症を引き起こす

蝕まれていくからだのイメージ

慢性扁桃炎が怖いのは、将来的に様々な合併症を引き起こす可能性がある事です。
特に扁桃が原因で他の重大な病気を引き起こす病巣感染が要注意で、掌蹠膿疱症や胸肋鎖骨過形成、IgA腎炎などが代表的な疾患となります。

掌蹠膿疱症は手のひらや足の裏に水疱や膿疱が繰り返し出来る皮膚疾患です。
膿疱の中には細菌やウイルスなどの病原体は入っていないため、直接触れても人に感染させる事はありません。
また胸肋鎖骨過形成は胸骨や肋骨、鎖骨に原因不明の異常骨化をきたす疾患です。
痛みを伴い、緩解と増悪を繰り返しながら徐々に進行していくのが特徴ですが、こちらは単独で発症する事はほとんど無く、8割が掌蹠膿疱症を合併します。

そしてIgA腎炎とは、糸球体腎炎の中で最も頻度が高い腎臓病です。
本来ならば生体を守るべき免疫物質のIgAが腎臓の糸球体に沈着して炎症を起こし、血尿や蛋白尿などの症状が現れるようになりますが、場合によっては腎透析に陥る可能性も考えられます。
その他にも心臓弁膜に障害を起こすリウマチ熱や、このリウマチ熱が原因で心臓の内側を覆う膜が炎症を起こす心内膜炎などが主な合併症として挙げられます。

ちなみにIgA腎炎やリウマチ熱、皮膚疾患など扁桃病巣感染症の発生率が高くなるのは、溶連菌が扁桃炎の原因になっているケースです。
適切な治療をするためには、まず扁桃に付着している膿、血液や尿などから溶連菌の感染を受けていないか、重大な病気の兆候がないか等、慎重に経過観察を行う必要があります。
扁桃が原因で疾患を発症している場合は、扁桃を切除しない限りは疾患も治らないのです。

また溶連菌感染の有無は関係なく、炎症部分が周囲にまで広がる扁桃周囲炎や扁桃の周りの隙間に膿が溜まる扁桃周囲膿瘍といった病気にまで進行するケースもあります。
特に扁桃周囲膿瘍は激しい喉の痛みや高熱、食べ物の飲み込みにくさは当然ながら、周囲に内頸動脈や脳神経がたくさん通っているため、炎症や圧迫症状も起こす危険性があります。
放置すると隙間に膿瘍を形成し、それが心臓と肺の間まで広がって重篤な病態を引き起こす事にもなります。
喉だけではなく全身に対する影響も大きいため、頑固な慢性扁桃炎、合併症を引き起こすようであれば今までとは違う治療法に変えた方が賢明です。

扁桃摘出手術で解決!

手術中の様子

合併症を防ぐためにも、慢性扁桃炎を放置せずに適切な治療を受ける事が大切です。
特に免疫力の小さい子供は進行するのが早いため、さらに注意が必要になります。
治療法は保存的治療と外科的治療があり、保存的治療は喉の痛みや熱を抑えるために鎮痛剤や解熱剤を用い、細菌が原因になっている場合は、その原因菌に合った抗生剤が使われます。
また経口摂取が困難で脱水症状が起こっている際は、点滴などで補液療法も行っていきます。

一方、完治を目指すならば外科的治療が有効です。
合併症などを引き起こすと、薬を服用しても簡単には治らず、長期にわたってステロイドや免疫抑制剤を使った治療を受ける事になり、将来的には副作用が起こる事も懸念されます。
扁桃がある限り再発する可能性があり、何度も症状が現れる事に心が折れてしまう患者もいます。
その点、外科的治療で扁桃を摘出すると、様々な疾患が改善や完治に向かう事が多く、医師から勧められる事もあるのです。

扁桃は免疫機能の役割を果たしているため、摘出しても大丈夫かと心配する人もいますが、一般的に4~5歳ぐらいになると扁桃があっても無くても免疫機能に差が出る事も無くなっているので、気にする必要はありません。

扁桃摘出手術ですが、全身麻酔をして行われます。
開口器と呼ばれる器具を使って扁桃を丸ごと摘出する訳ですが、時間は1時間から1時間半ほどで手術自体はそれほど大変なものではありません。
また子供が手術を受ける際は、アデノイドの肥大を引き起こしている事も多いので、扁桃と合わせて摘出していきます。
入院期間は1週間から10日前後が一般的で安全性の高い手術ではありますが、術後は出血や痛み、違和感、味覚障害などが少し残る可能性もあるので、疑問点については事前に医師にしっかり確認しておく必要があります。

特に手術を勧められるケースは、学童期になっても扁桃炎を繰り返す場合や、何らかの病巣感染がある場合、扁桃が肥大して食べ物が飲み込みにくくなった時、睡眠時無呼吸が生じている場合などで、日常生活への支障が大きいほど、手術を受けた方が将来的にも安心かもしれません。
ただ子供の場合は、成長とともに扁桃が小さくなる事もあるので、急いで手術をする必要はなく、少し様子を見るというケースも多いです。